せっかく映画を観たり、ライブに行ったり、絶景を前にしたのに、口から出てくるのは「やばい」「すごい」「エモい」だけ。
本当はもっとたくさんの感情があるのに、言葉にできない…。
そんなもどかしさを感じたことはありませんか?
実は問題は「語彙力」ではなく「表現の仕方」にあります。
たった一言でまとめてしまうことで、せっかくの感動が薄れてしまうのです。
この記事では、語彙力に頼らずに「伝わる感想」を作るためのコツを5つ紹介します。
難しい単語を覚える必要はありません。
必要なのは、ちょっとした視点の工夫だけです。
1. 勘違いだった!問題は「語彙力」ではなく「感情の分解」
多くの人は「感想が言えないのは語彙力がないから」と思い込みがちですが、本当の原因は違います。
感情が大きなひとつの塊になっていて、整理されていないからです。
どこに焦点を当てたらいいかわからず、全部をひとまとめにできる便利な「やばい」に頼ってしまうのです。
必要なのは次の2つの力です。
感情の分解:何がどう良かったのかを具体的に切り分ける力。
想像力を働かせる:なぜその部分に心が動いたのかを掘り下げる力。
難しい言葉はいりません。体験を小さく分けて、なぜそう感じたのかを自分に問いかけるだけで、感想は自然と深まります。
2. 本当の敵は「決まり文句」。ありきたりな表現が感想を奪う
感想を平凡にしてしまう最大の敵は、決まり文句です。
「泣ける」「感動した」「考えさせられた」――便利ですが、これらを口にした瞬間、深掘りするはずだった思考が止まってしまいます。
「どうして泣けたのか?」
「どの部分に感動したのか?」
そこを言葉にすることが大事なのに、決まり文句に頼るとそれを省略してしまうのです。
「絶景だった」→ 湖面が鏡みたいに空を映していた
「言葉にできない美しさ」→ 風が冷たすぎて涙が出そうになるほど澄んだ空
今日から少し意識してみましょう。
お決まりの表現を避けて、自分が具体的に感じたことを言葉にする。
それだけで一気にオリジナルな感想に変わります。
3. まずは「感情」から話す。感想はレビューじゃない
感想というと、評論のようにまとめなきゃと思いがちですが、実際は自分がどう感じたかを素直に伝えることで十分です。
おすすめは「感情 → 理由」の順で話すこと。
- 「驚きました」→ なぜなら、最後の一行で世界の見え方がひっくり返ったから
- 「嬉しかったです」→ なぜなら、主人公の選択が自分の価値観と重なったから
- 「少し切なかったです」→ なぜなら、別れの場面が自分の経験を思い出させたから
まず感情を一言で言い、そのあとに「なぜなら…」と理由を足すだけ。
理由を考えるときには次の2つの視点が役立ちます。
共感:自分の経験や価値観と重なった部分は?
驚き:予想を裏切られた新しい発見は?
感想は全体を説明する必要はありません。印象に残ったひとつを「驚いた、なぜなら…」と話すだけで、ぐっと具体的になります。
4. 他人の感想は見るな!「自分だけのメモ」で純度を守る
SNSを開けば他人の感想がすぐに目に入ります。参考になる一方で、自分の第一印象を上書きしてしまう危険性もあります。
人の言葉は強力です。気づかないうちに「自分の感想」が「他人の言葉」になってしまうことも少なくありません。
そこで大事なのが、自分だけのメモを取ることです。
・作品を見終わったらすぐにスマホに書く
・帰り道でノートに数行残す
・写真に短い言葉を添える
誰にも見せないメモだからこそ、純度の高い自分の言葉を残せます。まとまっていなくても大丈夫。これがオリジナリティを守る一番の方法です。
5. 「好き」を言葉にすることは、自分の人生を肯定すること
「好き」という感情は時間とともに揺らぎます。今は夢中でも、数年後には違う感覚を持つかもしれません。
だからこそ、感動が新鮮なうちに言葉にして残すことが大切です。
言葉にすれば、そのときの感情を真空パックのように保存できます。
後から読み返したときに、「この瞬間の自分はこんなことで心を震わせたんだ」と再確認できます。それは未来の自分への大切な贈り物です。
「好き」を言葉に残すことは、人生を肯定する行為でもあります。記録を重ねれば、誰にも奪えない自分だけの財産になります。
結論
「やばい」から卒業するのに、新しい単語帳は必要ありません。
今回の5つのコツを振り返りましょう。
問題は語彙力ではなく「感情の分解」と「想像力を働かせる」こと。
思考停止を招く「決まり文句」を避ける。
感想はレビューではなく、まず「感情」から始める。
他人の意見に触れる前に「自分だけのメモ」で純度を守る。
「好き」を言葉に残すことは、自分の人生を肯定する行為。
言語化の本質は、語彙を増やすことではありません。心を丁寧に観察し、感じたことを小さく分けて、理由を想像して言葉にしていくこと。
その一歩が、あなたの毎日をもっと豊かにしてくれるはずです。
さて、今日のあなたはどんな「好き」を言葉に残しますか?
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