夏休みを利用して、憧れの南アルプス南部の縦走をしてきました。
ずっと行きたいと思っていたエリアですが、アクセスの悪さからなかなか実現できなかった場所。
ようやくその夢を叶えることができました。
手配について
南アルプス南部を縦走するには、まずアクセスのハードルを越えなければならない。
どれも外せないピースで、ひとつでも欠けると計画が成立しない。
今回事前に手配したのは、以下の通り。
①静岡駅~畑薙臨時駐車場までのバス【しずてつジャストライン】
運行期間が限られていて、今年は 8月17日まで。そのため、ギリギリの 8月16日出発 を選ばざるを得なかった。
②畑薙~椹島(さわらじま)ロッジの送迎バス
東海フォレストグループが運営しているロッヂや小屋に宿泊しなければ利用することが出来ません。椹島ロッヂ予約時にオプションとしてつけられました。
③椹島ロッジ・荒川小屋・聖平小屋・光岳小屋の予約
コロナ以降完全になっているので、各山小屋の予約開始日に予約。
予約開始日が平日の夕方だったので仕事中にスマホで予約!
④芝沢ゲート~新宿までの帰りのバス【毎日あるぺん号】
芝沢ゲートから新宿は毎日アルペン号のサイトから復路のみ予約ができました。
途中、温泉に寄ってくれます。
8月16日 椹島ロッヂへ
この日の目的地、椹島ロッヂは自宅から約10時間、海外旅行並みの長旅です。
まずは3時間半かけて静岡駅へ。
1本早い電車に乗れたので9時に着き、駅でうどんを食べて腹ごしらえ。
畑薙臨時駐車場行きのバスの座席は後方窓側を予約。
幸運にも隣が空席で広々。リクライニングしてほとんど眠って過ごしました。
畑薙までの道は細く曲がりくねり、対向車が来るたびに停車やバックの繰り返し。
到着は予定より35分遅れの13時55分でした。
畑薙ではすぐに東海フォレストの送迎バスに乗り換えます。
この先はマイカー禁止の区間で、もし送迎を利用できなければ20kmの林道を5時間かけて歩くしかありません。
座席には全員分のヘルメットが置かれていて、乗客はそれをかぶります。
落石の多い林道だからこそ、安全のためのルール。
バスの窓からは、先月25日に崩落したばかりの現場が見えました。
ねじ切れたガードレールが自然の猛威を物語ります。
監視員の確認を受けて、ようやく通行許可。
予定通り15時20分に椹島ロッヂ着。
受付を済ませ、部屋に荷物を置いたら一息つきました。
夕食までの間、周辺を散策。
ここでテントを張っている人は、送迎が付かないのにどうやってたどり着いたのだろう?
17時になるので食堂へ移動。
ネギトロ、エビフライ、グラタン、ローストビーフ、デザートまで揃う豪華メニュー!
ご飯と味噌汁はおかわり自由で、明日に備えて大盛り2杯を食す。
夕食を済ませた後は、ありがたい風呂で汗を流し、翌日の朝昼用の弁当を受け取りました。
今一度明日のルートを確認すると、距離15.1km、登り2321m、下り835m。
椹島ロッヂ(標高1100m)から悪沢岳(3141m)まで、一気に2000m以上登る計算です。
数字を見て少しビビってしまい、予定を5時半出発から4時半出発に変更。
21時に就寝。
2日目(8月17日)千枚岳を越え、荒川小屋へ
今日のルート
椹島ロッジ 4:14 → 岩頭見晴らし 5:30-5:36 → 清水平 7:01 → 見晴岩 7:52 → 千枚小屋 9:23-9:37 → 千枚岳 10:13-10:19 → 丸山 10:55 → 悪沢岳 11:22-11:38 → 荒川中岳避難小屋 12:35 → 中岳 12:41 → 前岳 12:53 → 荒川小屋 13:57
合計時間 9時間43分(標準CT 11時間27分)
かなりチャレンジングなルートです
登山開始
昨日もらった朝食を食べ、4時15分に出発。
最初の難関は吊り橋。
足元の隙間から川がぼんやり見え、かえって高度感が増す。
結構揺れるので高所恐怖症の人はここで脱落です。
南アルプスは森林限界が高いため、長い長い樹林帯歩きが始まります。5時19分、鉄塔に到着。
だいぶ空が明るくなってきた。
荒川三山には雲が張り付いています。6時間後にはあそこを歩いてる予定。
願わくば、その時までに雲が晴れていてほしい。
南アルプスは太平洋側の気候の影響で積雪が比較的少なく、そのため森林限界は北アルプスよりも高く、標高2800m前後まで森が続く。
道中ではブナやミズナラ、シラビソ類、そして標高が上がるにつれてダケカンバが目立つ。
朝の光が差し込み、緑に包まれた森の中を長時間歩くのは、南アルプスならではの体験だ。
7時52分、見晴岩。
駒鳥池は静まり返り、神秘的な空気をまとっていた。
立ち止まっていると、時間の流れが止まったかのようだ。
9時過ぎ、千枚小屋に到着。
たっぷり5時間樹林帯を味わいました。でも、南アルプスの森はキレイで好きだ。
重い装備に体はぐったりだが、コーラと弁当で生気を取り戻す。
そこから先は森林限界を越え、ついに空が開けた。
笊ヶ岳・布引山方面。あそこも赤石山脈なんだよなぁ。南アルプス広いなぁ。
10時13分、千枚岳(2880m)に到着。
残念ながら富士山は雲の中。けれど悪沢岳はすでに晴れていて、眼の前に見える。
早く悪沢岳へゴーゴゴー!
丸山の手前でトリカブトが咲き誇っていました。
登山をする前はトリカブトなんて漫画の世界で毒薬に使われるくらいしか知らなかったけど、登山を始めてからは身近な花になりました。見るだけならキレイな花!
ここまでで何か気づいたことありません?
今までの写真に登山者が一人も写ってないですよね。
あえて避けてるわけじゃなくて本当に人がいないんです。
この山域、アクセスが悪すぎるので全体的に登山者の数がめちゃくちゃ少ない。
静かな登山が好きな自分には最高の山域なんです。
11時22分、ついに悪沢岳(3141m)の頂へ。今回1つ目の百名山のひとつに立てました。特に百名山のピークハントをしているわけではないけど嬉しい。
雲が多めながら、富士山もなんとか顔を出した。
これだけ歩いてまだ午前中という事実。やっぱり登山は暗いうちから歩くのがいいね!
長く歩けるの楽しいな。
残るは中岳と前岳ですが・・・。ちょうど北側からの風の通り道になっていて、雲がバンバン発生しています。
ただ、完全に雲の中に入るわけではなく、眺望は開けています。
中岳の山頂は雲の中っぽいけど・・・。
ここで一回200mほど下って、登り返します。
南アルプス南部のルートでは、目の前に登り返しのルートがドーンっと見えることが多い。
何度もこれを繰り返されると心が折れるのであります。
悪沢岳~前岳を越え、中岳の稜線に差し掛かると視界に入ってくるのは、赤い屋根を冠した小さな避難小屋。中岳避難小屋(標高約3080 m)である。
宿泊(素泊まり、寝具付き)は予約制で可能(1泊¥11,000)、カップ麺やレトルト食品などの軽食も購入可 。
今回はスルーして先に進みます。
本当は前岳スルーしたいほど疲れてるけど、せっかくなので前岳に行きます。
ほとんど登りがない片道5分なので。
眺望がないので写真だけ取ってすぐ帰ります。
ここからが本当の正念場だった。
標高3000mを超える稜線から、一気に2600m近くまで高度を下げる道は、岩と砂礫が混じる急斜面。
浮石が多く、気を抜けば足を取られそうになる。
実は3ヶ月前に右足首を痛めていて爆弾を抱えている。もし爆発したら今回の登山は即終了。
絶対に悪化させてはならないのである。
歩幅を小さくし、足首をひねらないように慎重に下りていく。
重たい荷物を背負った肩はずっしりと痛み、膝も軋むように疲れていく。
下りは登り以上に精神力を消耗するのだと、改めて実感する。
緊張が解け、全身の力が抜けていった。
受付を済ませて自分のスペースに荷物を置くと、ただ放心状態で座り込む。
達成感よりもまず、圧倒的な疲労感。
明日以降の行程に不安がよぎるほどだった。
この日の夕食はカレー、味噌汁、グラタン、サラダ。カレーと味噌汁はおかわり自由!
だけど疲れすぎて食欲が出ずおかわりできず・・・。
夜は20時に横になったものの、背中が痛くて寝られなかった。
マットとかないし、マットがわりに薄い毛布が二枚提供されてるだけなので、どうやっても痛い。
マットレスを持ってくるべきだった。今回の登山で最大の失敗はこれでした。
結局、一睡もできず3時半に出発の準備を始める。
あー、今日は椹島~荒川小屋以上に辛いコースタイム12時間コース・・・。
不安しかない。
つづく
コメント
続き期待しています
2年前に逆回りルートで周回しました!