今年は私の登山史上過去最悪の年だ。
何が最悪って、登山の計画がことごとく中止!
4ヶ月でたった4日しか山へ行けておらず、更にちゃんと晴れたのは1日のみ。山の厄年だ。
計算してみると、6月から9月の間だけで計14日も中止になっている。これは一年で登る日数の50%以上だ。泣きそう。
10月1日の時点で紅葉前線は秋田辺りを南下中。栗駒山が紅葉の最盛期を迎えていました。しかし、栗駒山は秋田、宮城、岩手の県境。遠い!遠すぎる!
もう少し近場で探してみると、以前から気になっていた安達太良山の山頂部は見頃との情報。紅葉以外も面白そうな山なので安達太良山に決定!
安達太良山には紅葉の他に「ほんとの空」や「乳首」、「火山口」、「温泉」、「渓谷」など見所がたくさん。そして、実は私にとって東北の山は初めて。楽しみがいっぱいだ。
今回のルート
コースタイム
安達太良奥岳登山口 6:45 → 薬師岳 7:44 → 安達太良山 8:52 → 鉄山 10:00 – 10:25 → くろがね小屋 11:54 → あだたら渓谷自然歩道 13:09 → 安達太良奥岳登山口 13:35
合計時間:6時間50分
合計距離:12.4km
累計標高差:940m
東北の名峰「安達太良山」へ
当日の天気予報は終日快晴。
紅葉を求める人が大量に押し寄せることを予測し、ロープウェーを使わず早めに安達太良山へ到着する計画で行くことにした。
東京を丑三つ時に出発し、友人をピックアップ。駐車場に着いたのが6時20分。
スキー場なので駐車場は広め。停まっている車も少なめ。そして気温も低め。
6時45分 登山開始!
最初の目的地、薬師岳までのコースタイムは1時間20分。ロープウェー部隊よりも30分ほど先行できる計算だ。
たかが30分、されど30分。この30分には大きな価値がある。
最初の15分ほどはスキー場のコースを歩く。
滑り降りるはずのスキーゲレンデを頂上に向かって歩くのは少し変な気分。
登山道に入った途端、急に荒れた道になる。
前日に雨が降ったようで、ぬかるみと高い段差の連続。意外と体力を削られる。
今思えば今回のコース唯一の難所だった。
薬師岳(1,500m)が近づくと早くも森林限界を超える。さすが東北。森林限界が低い!
私はこの森林限界に到達した瞬間が大好きで何度体験しても感動する。
薄暗い樹林帯を抜けたと同時に一気に降り注ぐ太陽の光、紺碧の広い空の元に広がる眩しい緑。最高の一瞬である。
ここまで上がってくると、目の前の斜面に広がる紅葉を見ることができる。
8時00分 薬師岳到着。
計画通りケーブルカー運行開始30分前に薬師岳までたどり着けた。
ここからは安達太良山の山頂を拝める・・・はずだったが、山頂部分のみ雲がガッツリかかっている。とりあえず見なかったことにして先に進みます。
すると急に出てきました「ほんとの空」!
「この上の空がほんとの空です」
雲一つない碧空。素晴らしい秋空だ。
ほんとの空というのは詩人で彫刻家の高村光太郎が書いた詩集「智恵子抄」に出てくる有名な一節だそうだ。私は全然知りませんでした。
~あどけない話~
智恵子は東京に空が無いといふ。
ほんとの空が見たいといふ。
私は驚いて空を見る。
桜若葉の間(あいだ)に在るのは、
切っても切れない
むかしなじみのきれいな空だ。
どんよりけむる地平のぼかしは
うすもも色の朝のしめりだ。
智恵子は遠くを見ながら言ふ。
阿多多羅山(あたたらやま)の山の上に
毎日出ている青い空が
智恵子のほんとうの空だといふ。
あどけない空の話である。
ほんとの空から先に進むと、紅葉地帯へ突入する。
事前情報通り、結構色づいていて綺麗だ。
しかし、残念なことに先ほど気になった山頂の雲が下りてきて辺りを覆ってしまった。
上空を見ると、かなりの強風が吹いているようだ。すごい勢いで雲が流れていて、時折青空が見え隠れする。
「安達太良山に着く頃には雲を全部吹き飛ばしてくれ!」と願いつつ、曇天の中をゆく。
山頂が近づいてくると、登山道に岩が多くなってきて歩きにくくなってくる。
山頂方面はずっと雲に隠れたままだったが、突然雲が吹き払われて幻想的な安達太良山山頂が姿を表した。なんかラピュタっぽい。
8時52分 安達太良山到着
私たちを待っていたかのように雲が晴れ青空が復活。山の神様ありがとう!
安達太良山は別名「乳首山」とも呼ばれている。「チクビ」ではなく「チチクビ」と読む。本物を見て納得。うん。完全に乳首だ。
乳首の先っぽが山頂となっており、細い道を登る。
ロープウェイ部隊がまだ乳首に到達していないのでかなり空いているが、もう少しすると乳首に人が群がるのだろう。(乳首言いたいだけ)
山頂は意外と広く360度の眺望が拝める。安達太良山のちょうど南にある和尚山がひときわ目立っていた。
ひとしきり山頂を堪能した後は次の目的地、鉄山へ。
鉄山へは軽いアップダウンはあるが、ほとんど平坦。
鉄山方面は先程までとは打って変わって荒涼とした景色が続く。
景色の激変ぶりが面白い。
牛の背を越えると突如として現れる爆裂火山の火口!
朗らかな紅葉登山をしてきた後なので凄まじいインパクトだ。
月並みの感想で申し訳ないのだが、別の惑星に来たような感覚に陥る。衝撃がでかすぎて声を失う。
鉄山へ向かう馬の背では、インスタグラマー垂涎のフォトジェニックな景色がとれます。
こんな感じでね!
はい、これでもう「いいね!」量産。パーティーの準備をしましょう。
そんなことをしながら、ハイキング気分で鉄山に到着。
山頂の標識は強風でふっ飛ばされていましたが、行き止まりなのでここが山頂でOKでしょう。
歩いてきた道を上から眺める。迫力がある景色だ。
と、ここまでのんびりと歩いてきましたが、まだ午前10時という衝撃の事実。
時間の密度が濃いな!
お腹が減ったのでランチもといブランチを頂くことにする。
と思ったら車に昼飯を忘れるという大失態。
潤沢な行動食があったので問題はなかったけど、友人がパンを1つ恵んでくれました。心の友よ!
さて、後はくろがね小屋経由で降りるだけ。
くろがね小屋までの下りは細かい砂で大変滑りやすい。
くろがね小屋周辺は紅葉がとても綺麗。
紅葉狩りを楽しみながら下山。
くろがね小屋には源泉掛け流し温泉があることで有名。辺りは硫黄の匂いがただよっている。
宿泊料金は2食付きで1泊6,000円台と山小屋にしては安いので、今度はゆっくり泊まりで来てみたいなぁ。
くろがね小屋からはしばらく整備した緩い下りを歩く。馬車道というらしい。
途中で旧道との分岐があり、旧道の方が険しくショートカットできる。旧道の方を選んだが、ぬかるみがひどくて歩きにくい。選択をミスった。
最後は折角なので渓谷自然遊歩道を通って行くことにする。
20分ほどの道なので大したことないと思っていたが、実際は結構見どころがあって楽しかった。
13時35分 安達太良奥岳登山口到着。
約7時間ほどの長い山行でしたが、見どころが詰まっていて満足度満点でした。
最後は安達太良山の麓にある成駒へ。
ソースカツ丼が有名らしい。
ソースカツ丼ヒレ。デカイ!そして肉が柔らかい!
疲れた体にガッツリとエネルギーを注入できました。
まとめ
初めて東北の山に登ったけど、森林限界が低く樹林帯が短いのが魅力的。そして紅葉登山から安達太良山を経て、突然に現れる圧倒的スケールの爆裂火山というギャップに心から衝撃を受けた。
久しぶりに満足度の高い登山が出来た気がする。東北の山をもっと見てみたいと思わせてくれる山でした。
紅葉は来週あたりがピークかな?紅葉はピークの時期を捕まえるのが難しい。
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